上泉伊勢守は、日本剣術の三大源流と呼ばれる念流・香取神道流・陰流を学び、特に陰流より「転【まろばし】の道」を抽出し、ここに新陰流を創始しました。
その後、柳生石舟斎【やぎゅう せきしゅうさい】が第二世を継承。その子宗矩【むねのり】が徳川将軍家の剣術指南役を務めたことなどにより、柳生新陰流という名称で広く世に知られるようになりました。
新陰流の剣は心技において構えをなくし、攻めと守りを一つにした「無形」を極意とします。これらは相手を威圧して斬る「殺人刀」に対し、相手に技を出させて勝ちを取る「活人剣」として、敵を大いに働かせ、自らは「居ながらにして勝つ」妙技といえます。
当初は歩き方(歩法)から稽古を始めます。
次に膨大な大系から抽出された、十通りある基本の太刀筋を稽古します。
1.真っ直ぐ 向身(真正面向き)で行う。中心軸
2.青岸(別称:順勢)右45度の偏身(ひとえみ)で行う。右軸
3.斬釘 左真半身で行う。左軸
4.猿廻 右45度偏身。右軸
5.一刀両段(別称:左足前の順勢)左45度偏身。左軸
真っ直ぐの太刀筋以外は、全て45度の斜太刀で、 新陰流の根幹を成す太刀筋と云えます。
6.和卜
7.和卜の逆勢
8.クネリ打ち
9.横雷刀
10.横雷刀の逆勢
で、これらは45度以外の太刀筋です。
以上、十通りの太刀筋が一定程度に達した時点で
・三学円之太刀
一刀両段、斬釘截鉄、半開半向、右旋左転、長短一味
・九箇之太刀
必勝、逆風、十太刀、和卜、捷径、小詰、大詰、八重垣、村雲
・燕飛六箇之太刀
燕飛、猿廻、山陰、月影、浦波、浮舟
などの太刀(カタ)を稽古していくことになります。
十通りの太刀筋については師事している前田英樹師範の著書
『剣の法』: 筑摩書房 新陰流兵法はどのようにして成立したのか、その時代の特殊性、成立に至るまでの前段階の考察、新陰流の刀法の根幹を構成する十通りの太刀筋についての詳細な解説がありますので興味の有られる方は是非ご購読ください。
稽古道具として、新陰流の木刀、袋竹刀等を使用します。
新陰流では袋竹刀は上泉信綱開祖が考案したと伝えられ、蟇肌竹刀(ひきはだしない)とも呼びます。
上に被せる革筒は、もともと遠出する武家が鞘全体へ被せて汚れや損傷などを防いだ道具(表面の皺が蟇蛙に似ていたため蟇肌と呼ばれる)から始まっています。
木刀とは違い、思い切り打ちこんでも大怪我に繋がらない為、安心です。耐久性も高く、中に入れる真竹の交換のみで買い替えることなく使用し続けることができます。
稽 古 日
毎週木曜日 20:00~21:30
※新陰流について、詳しくはお問い合わせください。